ペットボトルの水平リサイクル最前線「使い捨てから“回し使い”へ」
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私たちが日常的に使っているペットボトル。その多くは飲み終わった後、資源として回収され、リサイクルされます。しかし、実はすべてのペットボトルが再びペットボトルに生まれ変わっているわけではありません。
従来のリサイクルでは、使用済みペットボトルを繊維やシートに加工する「カスケードリサイクル」が主流でした。これは再利用ではあるものの、使用用途が限定されるため、最終的には焼却や埋立てという「ごみ」としての運命を避けられないという課題がありました。
そこで近年注目されているのが、ペットボトルを再びペットボトルに戻す「ボトル to ボトル(水平リサイクル)」という技術です。この方法では、使用済みペットボトルを高純度で洗浄・粉砕し、再び食品用の新しいボトル原料として利用します。日本国内では大手飲料メーカーと再生プラントが連携し、技術の実用化が進んでいます。
この水平リサイクルには大きな環境メリットがあります。石油由来の新しい原料を使う場合と比べ、CO₂の排出量を約60%削減できるとされており、脱炭素社会の実現に向けた有効な手段の一つと位置付けられています。また、石油資源の節約にもつながり、循環型社会の構築にも寄与します。
ただし、ボトル to ボトルを成立させるには、消費者一人ひとりの協力が不可欠です。ラベルやキャップを外す、内容物をしっかり洗い流すといった「適切な分別」がなされてこそ、リサイクルの質が保たれます。また、回収されたボトルに異物が混入していると、再生処理の効率が大きく下がり、最終的には資源化ができなくなってしまいます。
今、使い捨て文化からの脱却が求められています。ペットボトルを“回し使う”という考え方は、私たちの行動一つで支えることができます。未来の地球のために、リサイクルにほんの少しだけ気を配ってみませんか